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北陸三県、初の連携による海外販路開拓事業の可能性とは。

  • 執筆者の写真: N9
    N9
  • 1月22日
  • 読了時間: 3分

更新日:1月23日



日本の地方自治体が連携し、海外市場に挑む取り組みが注目を集めています。石川県、富山県、福井県の北陸3県が展開するシンガポールでの合同プロモーションもそのひとつです。N9とFlagship Globalが支援する本取り組みについて、時事通信やNNAでも紹介頂きましたので、この機会で自治体が広域連携から得られる価値や可能性について深掘りします。 露出記事:NNA『北陸3県、初の連携で海外販路開拓』

北陸3県は2024年度より、共同でシンガポール市場をターゲットにした販路開拓を進めています。この取り組みでは、酒まつりやレストランフェア、小売フェアといった三つの柱を中心に展開されています。酒まつりでは、シンガポール最大級の日本酒イベントにおいて3県の日本酒を共同でPRします。そして、レストランフェアでは、プレミアムなレストラン4店舗で北陸産の食材を使った特別メニューが提供され、小売フェアでは現地スーパーで特設コーナーを設けるなど、多岐にわたる統合プロモーションが行われます。これにより、北陸全体の認知度向上と市場開拓が進められています。


1月17日にシンガポールのミシュラン一つ星レストラン「ホワイトグラス」で行われたラウンドテーブルでは、レストラン関係者や現地バイヤー、メディア、インフルエンサーが招かれ、北陸の多彩な食文化が紹介されました。富山県氷見の寒ブリや福井名水サーモン、加賀野菜を使った料理が振る舞われ、能登半島地震で被災した酒蔵の日本酒や伝統工芸品も展示されました。これにより、復興支援の意図も伝えられ、参加者の注目を集めました。さらに、レストランフェアではフレンチや和食、アジア料理など多彩なジャンルのレストランで、北陸の食材を活かした特別メニューが提供されました。これにより、現地のバイヤーや消費者に北陸の魅力が直接伝わり、北陸産品への関心を高める重要な役割を果たしました。一方、小売フェアでは、現地のスーパーで特設コーナーを展開し、日本酒や加工食品の試飲会を通じて地元消費者へのアプローチを強化しました。

今回の合同プロモーションは、単なる規模拡大にとどまらず、スケールメリットを活かした相乗効果を生み出しています。3県が持つノウハウやコネクションを共有することで、限られたリソースを最大限に活用し、発信力の向上を実現しました。各県が個別に情報を発信するよりも、1つのエリアとしてまとまることで、シンガポール市場への訴求力が強化されました。また、個別に行う場合に比べてイベント運営や物流コストが抑えられるなど、経済的な効率化も図られています。


また、連携した背景には、北陸3県が抱える共通課題と、それに対応するための連携の必要性もあります。能登半島地震での被災地支援を海外から促進することや、海外市場での共同展開により単独では難しい流通の持続性を確保すること、さらには3県の資源を統合することで地域全体のブランド力を高めることが挙げられます。この取り組みは、国際市場への進出を単なる売上向上にとどまらず、地域の魅力を世界に伝える機会として位置付けられています。


これまで自治体ごとに個別で行われることが一般的だったプロモーション活動を、広域連携し海外展開されるケースは当地であまり聞きません。自治体間で優先順位や利害の異なりや不均等、広域連携のメリット理解などの合意形成は通常、多くの時間を要することが背景のひとつで、今回のように北陸3県の信頼関係と透明性の確保は不可欠だと考えます。

N9は、こうした自治体間の連携モデルを支援するなど、日本各地の魅力を海外市場に届ける新たな取り組みを今後も推進していきます。今回の北陸3県の成功事例は、他地域にとっても大きな参考になるはずです。地方自治体と民間が力を合わせ、地域や国を超えた相乗効果を実現する道筋を共に切り開いていきます。



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